Binanceは、米司法省(DOJ)が同社を通じたイラン関連取引を調査していると報じたWall Street Journal(WSJ)の記事をめぐり、同紙の発行元であるDow Jonesに対して名誉毀損で訴訟を起こした。
訴状は米ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提出されており、Binanceは2月23日に掲載された記事が、自社のコンプライアンス体制やイラン関連取引への対応に関し「虚偽で名誉を毀損する内容」を含んでいると主張している。
記事は、制裁対象者に関わる資金移動を指摘した社内スタッフが解雇されたと報じていたが、Binanceはこれを否定。訴状では従業員の退職はコンプライアンス問題の指摘に対する報復ではなく、社内のデータ保護ポリシー違反が理由であったとしている。
Binanceの広報担当者はCoinDeskに対し、「Binanceはコンプライアンス調査を解体した事実は一切なく、WSJは同じ虚偽内容を繰り返し報じているため名誉毀損として提訴に踏み切った」と述べた。
一方、WSJは水曜日の続報で、司法省当局者が取引に関する情報を持つ人物に接触し、同取引所を通過した暗号資産取引の証拠収集を進めていると報じた。ただし、現時点では調査対象がBinance自体か、それとも同取引所を利用した顧客なのかは明らかになっていない。
Binanceの反論
Binanceは水曜日に公開したブログ記事で、WSJの報道内容に対して項目ごとに反論した。問題とされた約17億ドルの資金については、「資金はBinanceで始まったものでも終わったものでもなく、複数の独立した仲介者を経由しており、大半にイランとの直接的な関係は確認できていない」と説明している。
WSJは、中国の顧客からイランの資金ネットワークに関連するウォレットへの暗号資産送金が社内調査で指摘されていたと報じ、そのうち10億ドル以上が香港の決済会社Blessed Trustを経由して流れたと伝えている。
BinanceはBlessed Trustの口座に調査担当者が即時アクセス可能だったと説明し、システムログにより確認できると主張。さらに、法執行機関から提供された情報と内部調査を基に不審な取引を特定し、関係アカウントを停止のうえ当局に報告したとしている。
同社はまた今月初旬、米上院の調査に対しても、プラットフォーム上のアカウントがイランの主体と直接取引していた証拠は見つかっていないとの回答を行っている。
広報担当者は「Binanceの調査は継続中であり、アジアや中東など複数地域にわたる複雑な資金活動の構造を解明した。関係アカウントは停止し、迅速に法執行機関へ報告している」とコメントした。
同社は法執行機関と全面的に協力しており、コンプライアンスおよびリスク管理部門に1,500人超のスタッフを配置していることも説明した。これは全従業員の約25%に相当する。
再び法的注目の中心へ
今回の提訴と調査報道により、Binanceは再び法的な注目の的となった。2020年にはForbesに対し、同社に関する虚偽報道を理由に提訴したものの、その訴訟は数か月後に取り下げられている。
さらに2023年には米国のマネーロンダリング防止および制裁法違反を認め、約43億ドルの罰金支払いで和解した。創業者チャンポン・ジャオ(CZ)氏も関連容疑で有罪を認め、4か月の禁錮刑を服した後、2025年10月に大統領恩赦を受けている。
この和解の一環としてBinanceは現在、米国が任命したコンプライアンス監督官の監視下で運営されており、その監督官は今回のイラン関連取引に関する記録の提出も求めているとされる。
更新(3月11日 13:00 UTC):Binanceの声明、裁判の詳細、WSJ報道内容の追加情報を追記。
