ビットコインマイニング大手のFoundry Digitalは、2026年にもZcash(ZEC)のマイニングプールを立ち上げる計画を明らかにした。機関投資家や上場企業のマイナー向けにコンプライアンスに対応したインフラを提供する狙いだ。
ハッシュレートベースで最大級のビットコインマイニングプールを運営するFoundryは、BTC以外のネットワークへの事業拡大の一環として、新たにZcashのマイニングプールを導入する。
このプールは米国拠点で運営され、コンプライアンスチェックや報告基準、運用管理など、上場企業や機関投資家が求める基準を満たす設計となる。
Foundryによれば、Zcashは約10年の歴史を持つが、マイニングエコシステムの多くは小規模なグローバルプールが中心であり、正式なコンプライアンス体制を備えたインフラは限られているという。
FoundryのCEOマイク・コリアー氏は「Zcashは機関投資家レベルの資産へと成熟しているが、それを支えるマイニングインフラはまだ追いついていない」と述べた。
プライバシーコインへの関心の高まり
今回の拡張は、プライバシーに重きを置く暗号資産が再び注目される市場環境の中で発表された。
EUでは今年初めから新たな暗号資産税務報告ルールが導入され、資産差し押さえの可能性も検討される中、金融の匿名性への需要が高まっている。またオンチェーン分析技術の進化もプライバシー保護への関心を後押ししている。
Zcashはモネロ(XMR)やダッシュ(DASH)などと並び関心を集めており、価格も上昇している。
過去12か月でZECは670%以上上昇し、同期間のXMRの72%、DASHの51%の上昇を大きく上回った。
ZECの上昇は、ハイブリッド型プライバシーモデルによるものとされる。Zcashでは完全匿名の「シールド取引」を任意で利用可能な一方、必要に応じて透明な取引も行える。
この仕組みによりカストディ企業や取引所などが透明性を保ちながら利用でき、Winklevossが支援するトレジャリー企業やGrayscale Zcash Trustからの資金流入も促している。
マイニング経済の変化
FoundryのZcash参入にはマイニング経済の変化も背景にある。
2024年のビットコイン半減期によりブロック報酬が半減し、マイニング難易度の上昇で収益性は圧迫されている。
コリアー氏は今回の取り組みについて、「単にビットコインの利益率低下への対応ではない」と説明し、「我々はビットコインの利益率ではなく、機関投資家向けインフラが求められる分野を基準に機会を評価している。Foundryのビットコイン事業は依然として強固であり、事業の中核だ」と述べた。
また今回の拡張は、「コンプライアンス対応のZcashインフラが存在しない」というギャップを埋める目的があるとした。
現在、多くの北米の規制下マイニング企業は正式な報告制度やコンプライアンスプログラムを必要としている。
Zcashのマイニング構造
Zcashは2016年にローンチされたプライバシー重視の暗号資産で、ゼロ知識証明技術を利用している。
zk-SNARKsと呼ばれる暗号技術により、送信者・受信者・金額の詳細を公開せずに取引の正当性を検証可能だ。
Zcashはビットコインと同様にプルーフ・オブ・ワーク(PoW)でネットワークを保護しており、マイナーは専用ハードウェアを使用して計算問題を解き、その対価としてZEC報酬と手数料を受け取る。
ブロック生成時間は約75秒で、ビットコインの10分より短い一方、最大供給量は2100万枚で同じだ。
マイニングアルゴリズムにはEquihashを採用し、SHA-256のビットコインとは異なり大量のメモリを必要とする設計となっている。
ネットワーク難易度が影響し、単独でブロックを発見する確率は低いため、多くのマイナーは計算力を共有するマイニングプールに参加し、貢献度に応じて報酬を分配している。
FoundryのZcashプール
FoundryのZcashマイニングプールでは、参加者にKYCおよびAMLのコンプライアンスチェックを実施予定だ。
また、報酬計算の透明性や機関投資家向け報告ツール、専用サポートチームを提供し、運営拠点は米国に置かれる。
同社は自社ビットコインプールで採用している運用フレームワークをZcashにも適用し、SOC 1 Type 2およびSOC 2 Type 2の監査に準拠している。
マイニング報酬は匿名アドレスではなく透明なZcashアドレスを通じて支払われる。
報酬モデルにはPPLNS(Pay Per Last N Shares)が採用されており、コリアー氏によれば「完全に監査可能で日次支払いの照合データも提供可能な仕組み」となる。
マイニング手数料は公開されていないが、競争力のある手数料を提供するとしている。
参加に必要な最低ハッシュレートは設定せず、Zcashマイニングエコシステムがまだ発展段階にあることを考慮した設計だ。
2026年にプールが予定通り開始されれば、Zcashマイニング市場における最大級の機関投資家参入の一つとなる。
現在、この市場で活動する主要マイニングプールにはF2Pool、2Miners、ViaBTCなどがある。
