Tetherは、約230億ドル相当の金準備を活用し、トークン化された金戦略を拡大しつつある。暗号資産レンダーのLednへのTether Gold(XAUT)導入を通じて、XAUT保有者が基礎資産である物理的な金を売却せずに、金を担保に資金の借入が可能となる。
Tetherは、230億ドル相当の金を裏付けとするトークンXAUTを、暗号資産レンダーLednに導入した。Lednは、これまでのビットコインやステーブルコインUSDTに加え、今年後半よりXAUTを担保とした借入サービスの提供を予定していると発表した。
同社が保有する金準備の大半は非公開であるが、スイスの金庫に保管された1トロイオンスの金を1トークンとして裏付けており、その物理的な金の価値は約230億ドルにのぼるという。
これまで金を担保にした貸付は中央銀行や大手金融機関、金取扱業者の領分であったが、TetherとLednは物理的金をトークン化することで、デジタル資産がビットコイン同様に担保として機能し、資産の売却なしに流動性を引き出せる仕組みを提供すると主張している。
この仕組みはLednが長年展開してきたビットコイン担保ローンのモデルに類似している。顧客の担保は1対1で保持され、貸出や利回り獲得のために用いられない点も強調されており、2022年に暗号資産市場が停滞した際に事業を停止した競合サービスとの差別化を図っている。
TetherのCEO、Paolo Ardoino氏は声明の中で、「デジタル資産が世界経済の中核を担うなか、長期保有と金融の柔軟性を両立させるソリューションの需要が高まっている」と述べている。
今回の展開は、世界最大級のステーブルコインUSDTが生み出す収益を活用してTetherの事業領域を広げる最新の取り組みだ。同社はここ数年、金融からエネルギー、AIに至る幅広い技術・インフラ企業への変革を進めている。
その戦略の一環として、Tetherは着実に金事業を拡大しており、XAUTの拡大とともに約140メトリックトンの物理的金を蓄積し、世界有数の金保有企業の一つとなっている。また、貴金属マーケットプレイスGold.comへの投資や、暗号資産金融企業Antalphaとの提携によって、XAUTの貸付および物理的な引き換えサービスの活用拡大に取り組んでいる。
さらに、貴金属以外の分野でも、Tetherはビットコインマイニングや再生可能エネルギー事業への投資、AIインフラ事業者Northern Dataの支援を通じて、コンピューティング技術分野での事業展開を広げている。
