ブリュッセルに拠点を置くデジタル資産サービス企業Keyrockが、破産申請を行った暗号資産取引および貸出会社Blockfillsを買収する計画を進めていることが、詳細を知る複数関係者の証言で明らかになった。買収は現時点で裁判所の承認待ちの状況にある。
Keyrockの広報担当者はCoinDeskに対し、買収は裁判所の承認を条件としており、買収価格は325万ドルで合意していると説明。買収によりBlockfillsの資産の「実質的にすべて」を引き継ぎつつ、一定の負債や一部の株式持分、顧客リスト、独自技術および知的財産も取得する意向だという。
広報担当者は声明で、「2026年5月26日に提出された公式の破産裁判所文書において、Keyrock SAがReliz Technology Group Holdings Inc.および関連債務者の特定資産の『成功入札者』に指定されたことを確認できる」と述べた。
続けて「売却承認を審議する聴聞会は2026年6月16日に予定されており、両社は取引完了に向けて事務手続きを進めている。最終的な取引完了は裁判所の最終承認およびKeyrockが参加する入札に含まれる適切な規制当局の承認を条件とする」と説明した。
Blockfillsは機関投資家向けに流動性提供や資金調達、リスク管理サービスを手掛け、暗号資産の貸借やデリバティブ取引、店頭(OTC)取引の執行を行っている。主な顧客層はヘッジファンド、資産運用会社、マーケットメーカー、マイニング企業だ。一方のKeyrockはブリュッセルを拠点に、暗号資産取引所や機関投資家、トークン発行者向けにマーケットメイキング、流動性提供、OTC取引、インフラソリューションを提供している。
Blockfillsの関係者は取材時点でコメントをしていない。
2026年3月15日に、Blockfillsを運営するReliz Ltd.および関連する3社は、米デラウェア州連邦破産裁判所に自発的にチャプター11の申請を行った。提出された裁判所文書によれば、Relizの資産は5,000万ドルから1億ドルのレンジ、負債は1億ドルから5億ドルに上るとされる。
当時発表された公式声明では、関係者と慎重に協議した結果、チャプター11申請が「事業価値を保ち、利害関係者の回収を最大化するために最も責任ある手段」と判断されたと述べられていた。
「投資家、顧客、債権者、その他の関係者との幅広い協議を経て、Blockfillsは事業価値の維持と関係者の回収最大化を目的として自発的にチャプター11を申請することが最善の道と決定した。この申請により裁判所の監督下で透明性を保ちつつ秩序ある再編を進めることが可能となる」と声明で説明している。
また、CoinDeskは2026年2月に、シカゴを拠点とする同社が約7,500万ドルの損失を被り、買い手探しや緊急資金調達を模索していると報じていた。
同月初旬にはBlockfillsが市場環境の悪化と財務状況の厳しさを理由に顧客の出金・入金を一時停止し、流動性の回復に向け投資家や顧客と協議を続けていることも明らかにしていた。
Blockfillsによると、2025年の取引高は600億ドルを超え、前年比28%増加しており、約2,000の機関顧客にサービスを提供。機関向け暗号資産貸借市場でも活発な取引デスクの一つとされている。
今回の買収は、Keyrockがスタンダードチャータードのベンチャーキャピタル部門であるSC Ventures主導のシリーズC資金調達ラウンドで11億ドルの評価を獲得して数カ月後に行われるものだ。
さらにKeyrockは昨年秋、ルクセンブルク拠点のファンドマネージャーTuring Capitalの買収を発表しており、資産およびウェルスマネジメント領域への事業拡大を図っている。
