ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁が、暗号資産取引所BinanceによるギリシャでのMarkets in Crypto-Assets(MiCA)ライセンス取得を個人的に阻止したと伝えられた。
WSJは、ギリシャの金融規制当局が、ラガルド総裁が欧州証券市場監督局(ESMA)が提案しているEUの改革により暗号取引所のライセンス発行権限を移譲されるまで、その決定を先送りするよう要請を受けたと報じている。
MiCAの認可はEU加盟国ごとに金融規制当局が発行し、一国で承認されるとEU全域での営業が可能となる。ECBはステーブルコインやデジタルユーロに関する懸念から、決定に影響力を及ぼしているとWSJは指摘している。
ラガルド総裁は、Binanceの規模が地域内のドル建てステーブルコインの利用拡大を促進し、中央銀行のデジタルユーロ計画やユーロ建ての代替策推進を弱める可能性を懸念したとされる。
Binanceの広報は「憶測に関してはコメントしない」としつつ、「ヨーロッパにおいてBinanceは引き続きEUのMiCAに準拠した長期的な事業運営にコミットしている」とコメントした。同社はライセンス取得に向けて継続的に取り組んでいると表明している。
また広報は、「我々はMiCA認可取得に向け積極的に取り組んでおり、これはユーザーに一貫性と規制対応された信頼できるサービスを欧州市場で提供するために重要なステップである」と説明した。
Binanceは6月中旬、ギリシャ金融市場委員会(HCMC)がライセンス申請の直前承認を見送ったことを受けて申請を撤回し、運営縮小に着手していた。
Binanceヨーロッパ責任者のギリアン・リンチ氏は7月初旬、CoinDeskに対して「申請は完全であり、欠落や重要な未解決事項はなかった」と述べている。
WSJはさらに、過去のコンプライアンス問題を懸念したESMAが、BinanceのMiCA申請に対し各国金融規制当局に非公表で拒否勧告を行っていたことも報じている。
Binance創業者のChangpeng “CZ” Zhao氏は2023年に米国で銀行秘密法違反を認め、43億ドルの罰金支払いに同意。2024年にカリフォルニア州で刑期を終え、2025年10月にトランプ元大統領から恩赦を受けている。
CoinDeskの取材に対して、ECB広報はコメントを控えつつ、ECBは暗号資産サービスプロバイダーの認可権限を持たず、これは今回のケースにおけるギリシャ金融市場委員会(HCMC)など各国主管当局の権限であると述べた。
