円高の進行によりドル安が進み、ドル指数が押し下げられている。この影響でビットコインと金は当面その恩恵を受けている。
金融市場では、日本円がほぼ全面的に上昇し、一方でビットコインと金も高値を維持している。円高がリスクオフのシグナルとされる従来の見方とは異なる動きであり、背景には円の強さがドル指数(DXY)に影響を与えていることがある。
TradingViewのデータによると、世界で最も取引量の多い通貨ペアの一つであるドル円(USDJPY)は1.4%下落し156.40となった。これは水曜日の0.9%の下落に続く動きであり、主要な法定通貨として大きな動きだ。この結果、ユーロドル(EUR/USD)、ポンドドル(GBP/USD)、豪ドルドル(AUD/USD)など主要通貨も日中にわずかに上昇している。
これにより、主要通貨に対する米ドルの価値を示すドル指数(DXY)は0.4%下落し99.22となり、トレーダーが長期トレンドの指標として参照する200日移動平均線を試す水準に達している。この水準を下回ると、世界中のトレーダーが注目する平均値のため、さらなるドル売りが加速する可能性があるとみられる。
一般にドル安は、ビットコインのような米ドル建て資産への支援となり、世界の金融環境の緩和や市場のリスク許容度の向上につながる。一方でドル高はビットコインに逆風となる。
今回の円高がドル指数を圧迫し、今のところビットコインと金の価格を支えているが、円高ペースの加速はこの状況を変えるおそれがある。
その理由は、10年以上にわたりトレーダーが低金利の円を資金源として株式や債券、暗号資産の買いポジションを構築してきたため、円高が急激に進むとそれらの巻き戻しが生じる可能性があることにある。低い円を背景に日本株を購入していた海外投資家の売却や、安い円を使って海外資産を購入していた日本の投資家の決済が発生する可能性があり、これらはリスク選好の後退を招きかねない。
過去にも円の急激な上昇はビットコインに重くのしかかった例があり、特に2024年8月の円キャリートレードの巻き戻し時には、ビットコインは数日間で約20%下落した。
円高が今後、秩序立った動きとなるか乱高下する解消過程となるかは予断を許さないが、下値抵抗線は高い水準に位置するとみられている。トレーダーは日本銀行が9月18日の会合で政策金利を1%から1.25%に引き上げる可能性を高く織り込んでいる。
加えて、当局も円高誘導に積極的である。8月初旬には米国と日本が円相場の乱高下抑制と安定的な通貨政策支援を目的とした介入が行われたとの報道があった。
